貸家と貸家建付地の評価
2019年2月4日
1.貸家
相続開始時において賃貸している家屋は、その家屋の固定資産税評価額に借家権割合と賃貸割合を乗じた価額をその家屋の固定資産税評価額から控除して評価します。
「借家権割合」及び次の「借地権割合」は、国税庁のホームーページに掲載されている「路線価図・評価倍率表」に表示されています。
「賃貸割合」は次の算式で計算した割合です。
「各独立部分」とは、家屋の構成部分である隔壁、扉、階層(天井及び床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものをいいます。
2.貸家建付地の評価
「貸家建付地」とは、土地上に建築した家屋を他に貸し付けている場合の、その敷地のことをいいます。
貸家建付地の価額は次の算式により評価します。
貸家建付地の価額は「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を使用して評価します。
3.アパートの空室
継続的に賃貸されていたアパート等の各独立部分で、たとえば次のような事実関係から、一時的に空室となっていたに過ぎないと認められるものは賃貸されていたものとして評価します。
① 各独立部分が相続開始前に継続的に賃貸されてきたものであること
② 賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと
③ 空室の期間が、相続開始の前後のたとえば1ヵ月程度であるなど、一時的な期間であること
④ 相続開始後の賃貸が一時的なものではないこと
4.使用貸借である場合
家族間では、賃料を授受しないで貸し付けている場合(使用賃借)も多いと考えられます。土地又は借地権の使用貸借に係る使用権は、原則として零として評価します。
たとえば、被相続人(親)が所有する土地を相続人(子)使用貸借で借り受け、子がアパートを建てて他に賃貸している場合等には、相続財産となる土地の評価は自用地価額となります。