政府税調 消費課税の課題
2022年12月13日
消費税や揮発油税など消費課税の税収は、令和4年度において28兆円が計上されており、70兆円の政府予算の4割を占める重要な財源となっていますが、政府税制調査会では、消費課税について将来を見据えた検討が開始されました。
国境を越えた役務提供に係る課税
国外事業者より電子書籍、音楽、広告などの配信サービスを受ける場合、消費地原則に基づいて課税すべきとして、平成27年10月から、BtoB取引については、国内事業者が申告納税するリバースチャージ方式となり、また、BtoC取引については、国外事業者にて課税する方式となりました。
その後、オンラインゲーム配信サービスが年々増えていますが、大小様々な国外事業者(サプライヤー)は日本国内にビジネス拠点を置かず、国内に資産を持たないことから、申告納税や滞納処分に困難が伴うことが課題となっています。このため、欧州にならい、サプライヤーと国内消費者の間で、オンラインゲーム販売の仲介、課金代行を行う、デジタルプラットフォーム運営会社に課税してもらう方法を導入すべきことが提起されました。
EV(電気自動車)に対する課税
脱炭素社会の実現を目指し、環境性能の良い自動車には、エコカー減税など軽減措置が図られています。政府は2035年までに、電動車100%を実現させるべく、電気自動車、燃料電池自動車などについて、自動車税と軽自動車税は、環境性能割を非課税、種別割は減税、自動車重量税は、2回免税、揮発油税は、課税なし(ガソリンは使わないので)と優遇しています。
一方、道路設備(橋、トンネルなど)は、経年劣化が激しく、今後、多額の修繕費用がかかりますが、電気自動車の車両重量はガソリン車に比べ20%~30%重く、道路を損傷させる度合いも大きいのに税負担が軽いのは不公平であり、走行距離に応じた課税などを検討すべきとの意見が出ました。
消費税率の引き上げ
高齢化社会が進展する中、欧州に比べ、税率の低い消費税は、長期的に税率の引き上げを検討すべきとする意見が、数名の委員から上がりました。そこでは、電気自動車に対する課税と同様に、「受益と負担」という言葉が使われています。将来の社会における負担の在り方が問われています。