所得金額調整控除の誤り
2024年4月25日
〈誤りやすいケースをご紹介〉
令和2年分から始まった制度
所得金額調整控除は
(1)給与等の収入金額が850万円を超える場合で
①本人が特別障害者に該当
②年齢23歳未満の扶養親族が居る
③特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族が居る、のいずれかを満たしている人
(2)給与所得と年金所得の両方がある人
(1)と(2)の人が受けられる控除です。
(1)の所得金額調整控除は、年末調整で対応可能ですが、(2)の所得金額調整控除は、年末調整では対応していないため、確定申告で対応します。
扶養控除と異なる点があり注意が必要
夫婦の給与収入が両者850万円を超えている場合、扶養控除の場合はどちらか1人しか控除が受けられないのに対して、所得金額調整控除は両者が受けられます。この違いによって、所得金額調整控除を受けられるのに受けていない方が散見されます。
所得金額調整控除対象の親族が居る場合、年末調整で「所得金額調整控除申告書」を提出することによって所得金額調整控除が受けられます。国税庁から提供されている用紙を使用する場合は「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という、とても長い名前の様式となっています。
所得金額調整控除が適用される場合、源泉徴収票の摘要欄に親族名(調整)と記載されるか、扶養親族欄に名前が記載されます。この記載がなく、「所得金額調整控除額」にも記載がない場合は、所得金額調整控除が漏れている可能性があります。
確定申告でもご注意を
給与と年金両方を貰っている人は、確定申告で所得金額調整控除を受けることになります。(1)の控除を受けている場合、(1)適用後の給与所得から(2)の控除を行うことになります。選択適用ではありません。
給与のみで受けられる所得金額調整控除については、ふるさと納税等で確定申告をする方が、年末調整では調整控除を受けていたのに、自身で行った確定申告では所得金額調整控除の計算を忘れてしまい、実際の所得金額より金額が増えている、といった誤りが起こる可能性があります。ふるさと納税等で還付されることも多く、一見正しい申告に見えるのが厄介です。給与収入が850万円以上ある方は、一度給与所得金額(調整控除後)が源泉徴収票と合っているか、確認してみましょう。