国際課税編
2022年3月30日
令和4年度税制改正(国際課税)
経済のグローバル化に伴い、国際課税制度が大きな変革期を迎える中、令和4年度では次の改正が行われています。
(改正1)過大支払利子税制の見直し
「過大支払利子税制」とは、所得に比して過大な利子を支払うことによる租税回避を防止するため、支払利子のうち所得金額の一定割合(20%)を超える金額を損金不算入とする制度です。主に国外への支払利子等が対象となります。
今回の改正では、外国法人の法人税の課税対象とされる次の国内源泉所得に係る所得の金額についても適用対象となりました。
1.恒久的施設(PE)を有する外国法人
PE帰属所得以外の国内源泉所得
2.恒久的施設を有しない外国法人
国内源泉所得
外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは、軽課税国に所在し、実質的活動を伴わない外国子会社を利用した租税回避を防止するため、一定の条件に該当する外国子会社の所得を、日本の親会社の所得とみなして合算し、課税する制度です。(改正2)外国子会社合算税制の見直し
米国の保険業務では事務所を有せず、管理業務を外部に委託するケースが多いため、「保険会社又は保険持株会社」の保有割合100%の外国子会社は、この制度の対象外とされていました。今回の改正では、「保険会社又は保険持株会社」以外に、これらの会社に100%保有されている内国法人(例 国内中間持株会社)が海外保険会社に出資したケースも、合算税制の対象外となります。
(改正3)子会社株式簿価減額特例
子会社からの配当(益金不算入)と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避を防止するため、令和2年に設けられた当制度ですが、次の見直しが行われました。
1.適用除外要件(特定支配日利益剰余金額要件)の判定
期首から配当を受けるまでの期間に増加した利益剰余金額を直前期末の利益剰余金額に加算できるようになりました。
2.適用回避防止規定の見直し
適用除外基準を満たす子会社を経由した配当等を用いた本制度の回避を防止するための措置について、 一定の見直しが行われています。