公正証書遺言
2018年9月25日
1.公証人が作成
公正証書遺言は証人2名が立ち会った上で遺言内容を公証人に口授し、公証人が証書を作成する方式の遺言です。したがって、方式の不備で遺言が無効になる心配はありません。
また、公正証書遺言は家庭裁判所で検認を受ける必要がありません。
2.証人
公正証書遺言をするためには遺言者の真意を確保するため、証人2人の立会いが義務付けられています。
未成年者、推定相続人や受遺者等の利害関係者は証人になれません。
適当な証人が見つからない場合は、公証役場で紹介してもらうことができます。
3.秘密の保持
公証人には法律上の守秘義務が課せられています。
また証人は遺言者の依頼によりその場に立ち会うので遺言者が作成の事実や遺言内容を他に漏らさないように表明した時はもちろん、たとえ明らかな表明はなくても遺言の趣旨に照らし民法上の秘密保持義務を負うことになります。
遺言公正証書の原本は公証役場に保管され遺言者の死亡まで他人の目に触れることはありません。
4.遺言の調査
平成元年以後に作成された公正証書遺言は日本公証人連合会において、公正証書遺言を作成した公証役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日等をコンピューターで管理しておりその存在を調査することができます。
ただし、秘密保持のため遺言者の死亡後に相続人等の利害関係人のみが公証役場の公証人を通じて照会を依頼することができることになっています。遺言者が死亡したという事実の記載と遺言者との関係を証明する戸籍謄本、自身の身分を証明するもの(マイナンバーカード、運転免許証等顔写真入りの公的機関の発行したもの)を公証役場に持参して調査を依頼します。
5.特徴
公証人との事前の打ち合わせを行うことにより、内容の整った遺言を作成することができます。
公証人は裁判官、検察官等の法律実務に携わってきた法律の専門家で、正確な法律知識と豊富な経験を有しています。複雑な内容であっても公証人に相談して整理することができるでしょう。
公正証書遺言は原本が必ず公証役場に保管されるので遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされたりする心配がありません。震災等により滅失しても復元できるよう原本の二重保存システムも構築されています。
また、自筆証書遺言は全文を自書しなければならないので病気等のため自書が困難である場合には作成することができませんが、公正証書遺言は公証人が作成し遺言者の署名を代書することもできます。遺言者が高齢や病気等のために公証役場に出向くことが困難な場合には公証人が遺言者の自宅又は病院等へ出張してくれます。
6.費用
公正証書遺言の作成費用は公証人手数料令において次のように法定されています。
(1)遺言の目的たる財産の価額に対応する手数料
(2)具体的な手数料の計算
イ) 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記の表に当てはめてその価額に対応する手数料額を求め、これらの手数料額を合算して全体の手数料を算出します。
ロ) 全体の財産が1億円以下の時は上記イによって算出された手数料額に11,000円が加算されます。
ハ) 遺言者は通常原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき公証役場で保管し正本と謄本は遺言者に交付します。原本についてはその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては3枚)を超える時は超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また正本と謄本の交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
ニ) 遺言者が病気又は高齢等のために公証役場に行くことができず、公証人が病院、自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には上記イ)の手数料が50%加算されるほか公証人の日当と現地までの交通費がかかります。
ホ) その他の費用が発生する場合があります。