ダブルワークの社会保険

ダブルワークの社会保険

その他の情報

二事業勤務の対象者が増えてきている

 2016(平成28)年10月以前は複数の会社で社会保険に加入するのは、関連会社で役員を兼務している人等わずかな層に限られていました。しかし社会保険の適用拡大に伴い、ダブルワークで2つの会社のどちらも週20時間以上であれば両方の会社の社会保険に加入するケースも出てきました。

多くの会社では正社員の週所定労働時間を労基法に合わせて週40時間と定めていることでしょう。この4分の3以上の労働時間であれば加入することとなっていました。つまり週30時間以上の労働時間で加入になります。しかし適用拡大により従業員数101人以上事業所で週20時間以上働けば加入となると、ダブルワークで各々加入することになるかもしれません。

2つの会社で社保の手続きが必要に

 上記の場合は社会保険の手続きを行う「主たる事業所」を選択し「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。健康保険証は「主たる事業所」のものが発行されます。

保険料については両方の事業所の給与を合算して標準報酬月額を算出し、それを各事業所の給与額に応じた比率で案分しそれ
ぞれの事業所が保険料を納付します。

各々の立場で働き方の選択をしてもらう

 週20時間台の所定労働時間で働いている従業員が短時間勤務を選択している事情は様々で、本当は社会保険に入りたいけれど30時間は働けないという方には加入は朗報ですが、一方扶養の範囲で働きたい人には社保に加入すると手取りが減ってしまい損になる、また配偶者が勤務先から受ける配偶者手当が減額されるのは困るという方もいるでしょう。

 2024年の10月には週20時間超勤務者の社会保険適用範囲が従業員51人以上の事業所にも拡大されるので、今後社会保険加入が見込まれる方とは個別に面談し、適用拡大の内容や、受ける影響について説明をしておかなければならないでしょう。場合によっては所定労働時間を変更する必要が生じるかもしれません。

ダブルワークでは時間外手当の計算や保険料の案分負担、社保手続きのわずらわしさが発生します。しかし適用拡大や人手不足の観点からはやむを得ない面もあるでしょう。