ストックオプションとは
2024年8月27日
会社で働く者にとって報酬の対価は、給与や賞与ですが、これを自社の株式の交付を受ける権利として取得できるのがストックオプション制度です。会社の業績が向上し、株価が上昇すれば値上がり益を享受できるので労働意欲を高め、成果を出そうとするインセンティブが働きます。
役職員、社外高度人材にも付与
ストックオプションが付与されるのは、自社又は子会社の取締役、執行役、使用人の他、社外の高度人材(博士、高度専門職、企業の役員経験者、弁護士等)も対象となります。これは優秀な外部協力者にもインセンティブを与えてスタートアップの成長を促すそうとするものです。
経済的利益には給与課税
会社から受ける給与、賞与は、給与所得金額の計算において収入金額となりますが、ストックオプションのように、金銭以外で労務の対価として受ける経済的利益についても給与所得の課税対象となり、源泉所得税が徴収されます。
ストックオプションは譲渡制限が付されていますので、付与時には課税されず、経済的利益を享受する権利行使時に課税されます。そして株式を譲渡したとき、譲渡価額と権利行使価額(払込価額)との差額は、譲渡所得等として課税されます。
税制適格ストックオプションは課税繰延べ
次の要件を満たす税制適格ストックオプションとなる場合、権利行使時の給与所得課税は繰延べられ、譲渡時の株価と権利行使価額との差額が譲渡所得等として課税されます。譲渡所得は申告分離課税で税率20.315%ですので、給与所得を含む所得に課される税率がそれ以上であれば税制適格ストックオプションにメリットがあります。
- 権利行使期間は、付与決議の日後2年を経過した日から付与決議の日後10年を経過する日まで(設立後5年未満の非上場の株式会社等は、付与決議の日後15年を経過する日まで)
- 権利行使価額の年間の合計額は、1,200万円以下
- 権利行使価額は、新株予約権に係る契約締結時の1株あたり価額相当額以上
- ストックオプションの譲渡は禁止
- ストックオプションの株式交付は、会社法238条の事項に反しない
- 金融商品取引業者等において、ストックオプションの行使により取得した株式の保管の委託がされている