後継ぎ遺贈

後継ぎ遺贈

相続税

1.後継ぎ遺贈

たとえば、「全財産を長男に遺贈する。長男が死亡した場合は、その長男がその財産を受け継ぐこととする」というように財産を受け継ぐ者を指定する遺贈を「後継ぎ遺贈」といいます。先祖伝来の土地を直系で受け継いで守るために財産を相続する人を順次に定めたい、将来にわたって親族間の紛争を回避し財産の散逸を防ぎたいといった場合にこのような遺言を考えたくなります。

しかし、民法に後継ぎ遺贈の定めはありません。後継ぎ遺贈の法的効力については見解の分かれるところです。

したがって、後継ぎ遺贈を記した遺言を残すと相続開始後の法的状態を不安定にし、かえって親族間での争いを招く結果となることもあります。

2.後継ぎ遺贈型受益者連続信託

平成19930日に施行された信託法は受益者の死亡により順次他のものが受益権を取得する旨の定めのある「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」を認めています。受益権の承継者の指定には財産の承継者を指定するのと同じ効果があります。

受益権の承継の回数に制限はなく、信託設定時において受益者が現存している必要もないので、まだ生まれていない孫や姪甥を受益者として定めておくことも可能です。

ただし、「信託設定の時から30年を経過した時以後に受益者となった者が死亡するまで」という制限があり、30年を経過した後は受益権の新たな承継は一度しか認められません。

なお、この方法であっても遺留分減殺請求の対象となります。